コミュニケーションはキャッチボール

うまくいくキャッチボールの条件

1 完了させる

自分が投げて相手が受け取る、受け取ったボールを相手が投げて、自分が受け取る ─── それがキャッチボールです。そして、ここまでが、キャッチボールの1ユニットです。これが途中で途絶えると、それは、キャッチボールではないことは、これまで見てきたとおりです。

この1ユニットのコミュニケーションを行うことを、わたしは「コミュニケーションの完了」と呼んでいます。そして、なんらかの事由でそれが中途半端に終わってしまうのが、前章でも触れた「コミュニケーションの未完了」です。
コミュニケーションの未完了は、そのコミュニケーションが終わっても、その人の中で何年にもわたって残りますが、幸いなことに、もし、その人が別の場面で、完了するコミュニケーションを体験すると、その未完了は消えていきます。あるときは、一瞬のうちに。あるときは、氷がとけるように少しずつ。

たとえば、あなたが子どもころにいじめを受けて、その記憶からコミュニケーションを恐れるようになっていたとします。その場合、当のいじめた本人に謝ってもらわなくても、いま、ここで、新しい人々との間で、完了するコミュニケーションをもつことで、そのときの「未完了」を解消することができるのです。

逆に言えば、たとえ、過去にあなたが置かれていたコミュニケーション環境がどんなに劣悪なものであったとしても、それを理由にいまここでのコミュニケーションを避ける理由にはならないということです。

責任と選択は、常に、あなた自身にあります。

伊藤守著『コミュニケーションはキャッチボール』(ディスカヴァー刊)より

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