ブックシェアしようと思っているうちにベストセラーになってしまい、今更という感じでしょうか。もうお読みになりましたか?
養老先生、「唯脳論」(いつも結納論と変換されてしまう)から十数年、「すべては脳の創造物」と一貫して同じことを繰り返しているうちについにブレークしてしまいましたね。お話を文章化した本なので読みやすくなっているようですが、内容は根元的な問いであります。自分が何の疑問もなく通り過ぎていたことをもう一度考え直すきっかけを与えてくれます。
わたし自身は唯脳論はもっとも説得力のある認識論と考えています。個性を伸ばせという教育目標に対して、「個性は教育などしなくてももともと身体に備わっている。教育すべきは共通了解を拡げていくことでしょう。」あるいは、安易な「知の技法」に対して「知ることは死ぬことである。」、などなど。様々な気づきが得られることと思います。とにかく、まだお読みでない方は一読をお勧めします。
この本は、私にとってはコミュニケーションを深めるための本と読めました。「バカの壁」を認識することはコミュニケーションの第一歩ですね。まずは自分の中に見いだすものでしょう。
それにしても、ポストモダンの喧噪もバブルの崩壊とともに過ぎ去ってしまったこの国で、この本がベストセラーになるというのはどういうことなのでしょうか?
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