堀場製作所の社是は「おもしろおかしく」だそうです。そこに、人がひとり生きていることに絶対的な価値をおいている堀場さんの哲学が見えます。本書の中で堀場さんは「企業は人がおもしろおかしく生きている場を提供することが大切であると同時に、企業そのものもおもしろおかしい体質をもっていなければなりません。個人の側からみれば会社がおもしろおかしくなかったら、そんなところにいる意味はないといえます」と言いきります。
会社は『人を幸せにするシステム』であるという言葉を聞いたことがありますが、この部分を読んで改めて「確かにそうだ」と思いました。彼はさらに続けます。「そうかといって、初めからそこがおもしろおかしいところかというと、そうはいきません。だからみんなでよってたかっておもしろおかしい職場にしていこうではないか、と考えなければならないのです」。
ここで「イヤならやめろ」が出てきます。仕事や職場に慣れてきたときや、目標を見失ったときなど、どうしても仕事や周りの人に対する不平不満が出てきます。ここで堀場さんは、文句を言いながらずるずると引きずるくらいなら、早いところ辞めて次のチャンスを探すべきだ、と言うのです。「会社が悪い」「社員が悪い」と批判を繰り返しても何も変わるものではありません。だから文句を言って時間をつぶしていないで「イヤならやめろ」というわけです。。彼の経営哲学はきわめてシンプルです。「おもしろおかしく」そして「イヤならやめろ」。このサンドイッチなのです。
会社存続の鍵がどこにあるかはわかりませんが、今を楽しむことができる場をつくり、個人も今を楽しめるようになるべきだという哲学に私は共感します。 |