ミルトン・エリクソンという伝説的な心理療法家、精神科医をご存じでしょうか?1980年に亡くなるまでアリゾナのフェニックスに診療所を開き、全米の多くのクライエントにすばらしい治療効果をもたらしたことで知られています。1980年という年は、ビル・エバンス、ジョン・レノン、そしてミルトン・エリクソンという3人の私のアイドルが失われてしまった年です。当時私は私は大学4年生でした。
さて、エリクソンの治療にはしばしば巧みなメタファーを含んだ物語が使われました。以前、「ナラティブ・ベイスト・メディスン」という本をここで紹介しましたが、エリクソンほどクライアントの持っている「物語」をよく理解し、それを治療に利用した心理療法家はいなかったと思います。本書はそのようなエリクソンの語った物語を編集した貴重な記録です。読み物としても大変興味深いものです。「物語」の意味をもう一度じっくり考えることが出来ます。 |