[No.36] 伊藤 守のおすすめ 『文人悪食』 嵐山光三郎著(マガジンハウス)
文士達の食に関するエピソードを選りすぐり、食という視点から、これまで知られていなかった文士の個性を浮かび上がらせている本です。文学者と言われる人たちは、自分のような凡人とは違って特別な人たちなのだ、と思ってきましたが、この本を読んで「特別」の意味が変わりました。饅頭をのせたお茶漬けを好んで食べた森鴎外。ホットケーキにこだわった池波正太郎。食い意地のはっていた夏目漱石。いつも人に食事をたかった川端康成。人からお金を借りまくっていた石川啄木。文学者達はどこか普通ではありませんでした。