itoh.com
ホーム
 
itoh.comNEWS登録
コンテンツ
「この気持ち伝えたい」ベストセラーをFlash版で!
コミュニケーションのプラットフォームを創る
コミュニケーションQ&A
ブックシェア
エディターズ・ルーム
フレンド
エディター沢田康彦氏のインタビューサイト
プロフィール
伊藤守プロフィール
お問合わせ
(c) itoh.com All Rights Reserved.
 
 ホーム > ブックシェア > ブックシェアバックナンバー


ブックシェア
バックナンバー No.1-20 No.21-40 No.41-60 No.61-80 No.81-100  
ブッククラブ



堀越正男

[No.34]  堀越正男のおすすめ
「2001年宇宙の旅」講義
巽孝之著(平凡社新書)


1968年、始めて2001年が公開された時の話だ。映画好きの友人に誘われたが、気が進まなかった。あまり乗り気でなかったのは、なぜか当時、狂おしいまでの映画への思いが、突然しぼんでしまっていた時だったのと、ロードショウ館のせいだった。当時、テアトル東京は東京唯一のシネラマ館で、シネラマといえば退屈な観光映画の代名詞だったからだ。

「だってクラークとキュブリックだよ」と強引に誘われた。プロモーションが悪かったのだろうか、公開直後なのに空いていた。結果は、“ツァラトゥストラ”が鳴り響いてからエンディングまで、まるでタイムゲートに突入したボーマン船長のように瞳孔が開きっぱなしのまま、時間を忘れて見入ってしまった。

それからだ。謎に包まれたストーリを解明したくて、テアトル東京通いを始めたのは。以後いったい何回、劇場でこの映画を見たのだろう。クラークによる原著の翻訳本ももちろん読んだ。翻訳の伊藤典夫もあとがきで書いていた。「あなたもあの映画のつじつまをあわせたくて、本書をあけた口だろうか…」と。そう、その通り。

その後、クラーク自身による続編も書かれ、すべての謎が解明されてしまった。…と思って久しい所に本書だ。あえて今、2001年の何を講義してくれるのだろう?いったい何をどう読み解いて、何を付け加えてくれるのだろう?と懐疑的な思いで本書を開いた。が、さすが『日本SF論争史』で今年の日本SF大賞を制した巽孝之教授、今だから展開できる新しい解釈とともに、“記憶の宮殿”として読み解いたモノリス論など、やるもんだねエ。また2001年シリーズ熱がぶり返して来そうだ。


↑PageTop