[No.17] 藤田浩芳のおすすめ 『アメリカの友人』 パトリシア・ハイスミス著(河出文庫)
ちょっと前に映画化された『リプリー』の続編。(『リプリー』はアラン・ドロン主演『太陽がいっぱい』の原作でもある)「平気で嘘をつく人」であり、人殺しを含め犯罪を次々と重ねる主人公リプリーに、こんなにも共感してしまうのはなぜだろう。
本作では、まったく無関係の、平凡に暮らす男をうまく巻き込んで、マフィアのギャング殺しをさせてしまう。ひどい話なのだが、それでもやはり読者はリプリーとともに考えたり感じたりすることになる。ストーリーはこれ以上書けないけれど、読み始めたら止まらないことは保証します。