2000年に読んだ本のなかで最も印象に残っている、絶対のお奨め本として、シェアしておきたい。
本書は、切断された腕があるように感じたり、時には我慢できないほど痛くなるなどの幻肢現象の研究から始まって、人間の中の最奥の領域、脳の中の不思議な現象に触れていく。
脳内右側一次視覚皮質の摘出で、両眼とも視野の左半分が全く見えなくなった患者が「見えないはずの対象の位置に正確に手を伸ばす」という現象。自分の体の一部を他人のものだと主張する患者。両親を本人と認めず偽者だと主張する青年、等々。
興味深い症例をわかりやすく挙げていくだけでなく、さまざまな仮説をたて立証していく手口が、最良の謎解き小説を読んでいるようなスリリングさだ。
自分とは何か?我々は自分自身のことが本当にわかっているのか?自我とか主観とかの哲学的命題にまで、インド出身(そのあたりが本書のポイントかもしれない)の心理学者ラマチャンドランは、脳を切り口にしてまっこうからぶつかっていく。
従来は固定されていると思われていた脳内の身体イメージ地図が、手足が切断された後に短期間で再構成されている様子、左耳の外耳道に冷水を入れると何が起こるのか?、脳内に「神を感じる部位」が存在する?!…なんて、読んでみたくなりませんか? |