「冒険と自由には危険がつきもの。でもそのふたつがなければ、どんなにたべものがたくさんあったって、ほんとは生きていることにはならない…」
ドブネズミのガンバが、たったひとり立ち上がり、15匹の個性豊かな仲間を得て、戦いや冒険をくりひろげます。
この本の良いところはまず、長いこと。面白い本って面白いから結構なスピードで読んじゃって、読み終わっちゃうと、もう終わっちゃったとばかり、ちょっとがっかりすることありますよね。ところがこの本は378ページあります。しかも三部作ですからこれを読み終わってもまだ2冊ある。「ガンバとカワウソの冒険」に至っては堂々の546ページです。端折ったところもなく丁寧に書かれていますからたっぷり楽しめます。もうひとつ良いところは、構成がしっかりしていながら、中身が意外とエモーショナルなこと。構成がキチっとしていると理屈っぽくてツマらなかったり、エモーショナルな本は構成が分かりづらかったりということがありますが、この本はそれを両立させている稀有な例です。
矮小化された冒険でもなく、管理社会への反発でもなく、生きるための戦いを真正面から描いているところは、戦後民主主義教育とそれを取り巻く環境からすると特異な本。ウチの子が一番好きな本がこれなのですが、この本を読んでからちょっとたくましくなったように思うのは、やはり親バカというものでしょうか。 |