[No.5] 中川幹夫のおすすめ 『トムは真夜中の庭で』 アン・フィリッパ・ピアス著、高杉一郎訳(岩波少年文庫)
古ぼけた、大きな振り子時計が真夜中に13回時を打つと、ガラクタしかないはずの裏口に、花咲き乱れる庭園が忽然と現れる。友だちもなく退屈しきっていたトムは、そこでヴィクトリア時代の不思議な少女と出会い、冒険をする。
庭園のきめ細かな描写が実に美しく、また、冬の寒さに凍りついた川をスケートで滑る様子が生き生きと描かれていて、私も一緒に冒険したかのように、いつまでも心に残っている本です。