学習障害のひとつ読字障害についての情報です。
今月はあるエクササイズを使ってディスレクシアが治療されたエピソードをお伝えします。
エクササイズがディスレクシアの子どもたちを“治療”する
自分が体育に使う用具を忘れてしまうことや、自分の宿題の出来などから、サイモン・コールマンは自分に自信をなくしていました。
サイモンは典型的な失読症と診断されました。ものごとを言葉で記憶することができない、うまく整理ができない、物忘れがひどいという状態でした。
サイモンの両親であるジャニスとラッセルもその状況から逃れるための手段を探すことに限界を感じていました。
そんなとき彼らは、半信半疑ながらも、ボルソール・コモン小学校の校長先生が紹介してくれたエクササイズを、試してみることにしました。
するとまるで魔法のようなことが起こりました。
地元のグラマースクールに入学するために必要な中等教育選定試験にパスしただけではなく、13歳になったサイモンは、英語でA+の成績を修め、上級クラスに移るように言われたのです。
サイモンが素晴らしい成果をあげたことから、学校全体でエクササイズについての研究に2年間、取り組むことにしました。するとディスレクシアのせいで、学ぶことに問題のあった生徒が、40人もその症状を克服することに成功したのです。
「失読症はサイモンの生活に大きく影響していました。サイモンは常に良く聞きなさい、もっと努力しなさいと言われ自信をどんどん喪失していったのです」とサイモンの母は語ります。
校長のトレバー・ディビスは、サイモンの両親にディスレクシアの治療にエクササイズを長年実践しているケニルワースのドーア・アチーブメントセンターに連絡をとるように薦めました。
このエクササイズというのは、1本の足でクッションの上に立ち、お手玉を一方の手からもう一方の手に投げるといったもので、神経経路と小脳とを完全に結びつけるために考案されました。
このエクササイズを、家で朝夕10分間ずつ行うことで、バランス感覚がよくなり、手と目の連携がうまくできるようになるのです。
「このエクササイズは、治療のなかでも重要なものでした」とサイモンの母は話しています。
「最初はキッチンをぴょんぴょん跳んで、お手玉をあちこち投げたりするのはばかげていると思っていました。あまり信用していなかったんです。」
エクササイズによる治療を始めて2〜3ヶ月経った頃、サイモンは感情的になり、混乱し始めて、夜も眠れなくなったのです。それは、脳が新しい情報を処理して新しい経路を作っているサインだとサイモンの母は言われました。
このプログラムを終えてからも成果は持続し、サイモンはソーリハル・ボーイ・スクールに入学しました。そしてこの3年間で彼の理解力も向上しました。
この成功によって、学校は2001年にエクセター大学と提携し、研究に参加してほしいと依頼を受けました。
その研究では、400人以上の児童を診断しました。その結果、程度の差はありますが、40人に学習障害があることがわかりました。そこでその40人を2つのグループに分け、一方にだけエクササイズプログラムを行いました。エクササイズプログラムを行ったグループは、すぐに効果を出し始め、生徒が両親に宿題をやってもらっているのではないかと、学校の先生が思うほどでした。
6ヶ月後、エクササイズを行っていなかったグループの児童にもエクササイズプログラムを行い、同じような効果をあげました。エクササイズ後、再び子どもたちを診断した結果、ディスレクシアの兆候は見られず、学校でのサポートはもはや必要がなくなっていたのです。
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