テレビがつくる言葉の遅れ
テレビやゲームが言葉の発達を遅らせるという結果の報告です。
運動機能や知能に問題がないのに言葉をほとんどしゃべれず、仲間と遊べない子どもが増えています。このような「自閉症そっくり」の子どもたちを、川崎医科大学(岡山県倉敷市)の片岡直樹教授(小児科)は「新しいタイプの言葉遅れ」と名付けました。
原因はテレビやビデオ漬け。「テレビをやめて、母子教室などであやしたり、一緒に遊ぶことで、しっかりとした関係を築く。マネや指さしができるようになると、心が通じ合うようになります。3歳前までの言葉の遅れは、それで治る可能性が高い」と片岡先生は語ります。
片岡先生がそれをはっきり確信したのは94年のことでした。2歳2カ月の女児は目線を合わさず、呼びかけても無視する。もちろん、指さしもしない。生後6カ月からテレビ、ビデオと、オモチャでの1人遊びばかりさせてきたのがこういう結果を導いたのです。手がかからないと喜んでいた親も、意味不明の言葉しか話さないことから心配になり、片岡先生のところに訪ねてきたといいます。そしてこういった同じような子どもたちが、次々と片岡先生のところに集まってくるようになったのです。
片岡先生は、2001年夏「テレビ・ビデオが子どもの心を破壊している!」(メタモル出版)に、その治療経過などをまとめました。
テレビの情報は一方通行。見るものの働きかけに一切反応しません。それゆえにテレビづけ生活はコミュニケーション能力の発達を阻害するのです。コミュニケーション能力の不足とは、円滑で豊かな人間関係を築けないことを意味し、乳幼児期の「言葉遅れ」だけでなく、「ADHD」(注意欠陥・多動障害)やLD(学習障害)、思春期・青年期の「キレル」性格、ひきこもりなど、成長過程に様々な問題を引き起こす可能性さえあると片岡先生はこの本で警告しています。
テレビが普及して40年。自閉症児と診断される子どもはこの40年間で25倍になっています。さらにビデオが広まり始めて20年、急速に広がるコンピュータ。この傾向が加速されても不思議ではありません。片岡先生は、テレビやビデオが原因で「言葉遅れ」になった子どもたちの多くは、治る可能性が高く、急増中の「注意欠陥・多動障害」(ADHD)や「学習障害」(LD)の児童の大半は、その軽いものであると考えています。
いくら内容がよくても、ビデオ、テレビ、テレビゲームは一方通行の刺激です。人間的な接触が不足すると、乳児期で最も大切なコミュニケーション能力の土台ができなくなります。
しっかりとした双方向のコミュニケーションが求められているのです。
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