ADD 〜「片づけられない女たち」より
部屋が致命的にちらかっている、公共料金の支払いを忘れてしまう、簡単な書類の作成に時間がかかる、相手に対して適切ではない言葉をかけてしまう。これらの行動は本人の努力不足ではなく、ADD(注意欠陥障害)という神経化学系の障害である可能性があります。
ADDは脳内伝達物質のドーパミン代謝の異常を疑われる障害です。多動のあるADD(ADHD)の場合は目に付きやすいため(授業中座っていられない、衝動的に乱暴を働くなど)、発見される可能性は高くなります。しかし多動がない場合、成人になってもそれと気づかないことがあります。
ADDは目に見えない障害であるために、本人も周囲も気づかない場合が多く、「なんてダメな人間なのだろう」と自分を責めてしまったり、周囲から低い評価を受けてしまったりします。そしてうつ病になるなど、二次的障害に発展することも多いようです。特に日本においては、成人のADDについては極端に情報が少ないのが現状です。
昨年発売されてベストセラーになった「片づけられない女たち」(サリ ソルデン著・ニキ リンコ訳)により、ADDは一躍スポットを浴びました。この本を読むと、部屋の中以上に頭の中や感情が散らかってしまっている彼女達の状況が、少しづつ見えてきます。その「もどかしい感じ」は普通の人でも感じるもので、多くの女性から共感を呼んだようです。少なくともADDとして登場する彼女たちを障害者と呼ぶには、抵抗を感じることでしょう。
この本では、ADDという障害があっても、それとうまくつきあいながら自らの能力を発揮し、充実した人生を送ることができると語っています。
最近、ネット上では「片づけられない女たち」の掲示板やメーリングリストが多数立ちあがっています。その内容からは、今まで「だらしない」「女性らしくない」その行動のために、息をひそめてきた彼女たちが、実にのびのびと語っています。この本をキッカケに専門家の診断を受けた方も多いようです。
「片づけられない女たち」ブームの影では、関連機関に人が殺到するなど、トラブルも少なくなかったようですが、日本でもADDに関する理解が進むことを願いたいと思います。
読字障害のチェックリストはこちら。
|