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　　　　　　　　　　　　Vol.228 　 Sep. 30, 2005
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　　●　伊藤守の『長生きしようよ』　　肘折温泉


　　　「ひじおりおんせん」と読みます。

　　　子どもの頃、祖父母に連れられてよく行きました。
　　　季節は、秋の終わり頃。
　　　農作業の疲れをとるために、湯治客が泊まる宿が定宿でした。

　　　そこで自炊をして、１週間でも２週間でも
　　　泊まっていたような気がします。

　　　だから、肘折温泉というと、秋の風景ばかりが出てきます。


　　　高校１年生のときに、足を骨折して、
　　　治療のために、１週間ほど一人で行ったことがあります。
　　　やることがないので、朝昼晩、風呂に入っていたら、
　　　湯あたりしてしまいました。

　　　ちょうど、湯あたりで苦しんでいるところに、
　　　父から電話がありました。

　　　「いいか。お湯にばかり入っていると、湯あたりするぞ」
　　　「はあ」
　　　「湯あたりはひどいぞ」
　　　「はあ」
　　　「だから、足だけつけるとかしないとな」
　　　「はあ」
　　　「じゃーな」
　
　　　お父さん、あなたの息子は、
　　　今まさに、その湯あたりで苦しんでいるのです。



　　　先日、両親が肘折温泉に行きました。
　　　そこから、お土産を送ってくれました。

　　　「くじら餅」

　　　米の粉と味噌や砂糖を入れた食べ物なのですが、
　　　くじらの肉にみたてたのでしょうか。
　　　くじらは貴重な食べ物だったんでしょうか。

　　　私は鯨は食べられませんから、
　　　肘折温泉の鯨餅のほうが好きです。
　
　　　それを頬張ると、
　　　温泉の部屋で火鉢の前に座り、
　　　お茶を飲みながら私を見ている祖父母や、
　　　駅まで迎えに来てくれた若かった頃の母や父の顔を思い出します。

　　　私はすっかり当時の父や母の年になりましたが、
　　　気もちは、相変わらず子どものままです。

　
　　　あーーーーああーーーー、秋だなー。



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　　● [ エディターズ・ルーム ]　９月３０日更新！
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　　　今週のお題は「３億円あったら」。
　　　昔、『３億円事件』という事件がありましたね。
　　　当時の３億円って、今はいくらくらいの価値があるんでしょうね。
　　　


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