Editor's Room

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2018年6月29日(金) 「おっさん」

おっさん(敬称略)に囲まれて日々すごすようになって早いもので、もう数年になります。昔はお姉さまたちに囲まれていたのですが、ある南アジアの人が現れて以来、どんどんおっさん化が進んだように思います。おっさんがおっさんを呼ぶという増殖がおきたのです。そのおっさんがいなくなってからも増殖は止まらず、まだまだ増えており、おっさんの壁は二重にも三重にもなって、さながら進撃の巨人のよう。この間Facebookに現れたおっさんは、ベジタリアンをやめたせいか、すっかり太ってさらにおっさんっぽくなっていました。内部増殖したんだと思う。(T)

タイトルがキャッチーで初回を見てしまったドラマ「おっさんずラブ」だが、初回から非常に面白く、きっと流行るんだろうなと思っていたら、やはり大ブームになった。しかし私が今回取り上げたいのはその内容ではなく、ドラマの設定である。公式サイトを読む限り、「おっさん」とは主人公を含めた男性陣全員を指すようだ。主人公の設定は33歳!それを巷ではおっさんずと呼ぶのか!!おっさんという言葉の女性版はおばさんだろう。そうなると、私のおばさん歴は恐ろしいことになる。ドラマの恋の行方の切なさよりも、別の切なさを感じずにはいられなかった。(M)

随分前の話だが、再受験して大学生をやり直した。学年30人足らずの小さな専攻に分かれての最初の講義の際、私がきっと最年長だと挨拶したら7歳年上がいた。瞬時に私の個性が瓦解したことにより、私はそそくさと若者グループに転じ、彼に「おっさん」というニックネームを贈呈した。彼は「おっさん、おっさんってお前らもすぐおっさんになるんだからな」と反論するも、「そんなバカなことがあるもんか」と言い返した。私は指導教官のエーゲ海の水着美女はムフフで……という言葉にすっかり魅了され、酒池肉林のパラダイスでの水着美女たちとの血湧き肉躍る研究生活への道を夢見たのの、語学力に象徴される圧倒的な地頭の欠如と、怠惰すぎる性格、覚悟のなさで瞬く間に頓挫。リガス・ヴェレスティンリス・フェレレレレレ……と舌を噛み切って非業の死を遂げた後に就職し、一方でおっさんはインドネシア人ぽい顔をしているねと、バリ島のイスラムを研究させられそうになったあげくに、バリ島には水着美女が溢れんばかりにいるにも関わらず、英語だけでいいからと器用にマルコムX研究に転身。水着美女はおらずも変態さを磨きをかけつつ大学に残った。そして、私はあっという間に出会った頃の彼の年齢に追いつき、追い抜いた。オレ、まだ若いじゃん。おっさんは7つ上。やっぱりおっさん。いまでも毎年何度も飲むが、その度に思う。おっさんはおっさんだと。私はきっとまだ若いはず。だが、健康診断では、尿酸値は高くメタボ予備軍と指摘され、新しいものは覚えられない。そういう歳になっている。子供が寝るまで、帰ってくるな。厳命を遵守するために、小さな場末の競馬場で、紙コップのビールを飲みながら一人帰宅許可連絡を待っている。馬券の買い方も何もわからないが、自宅に最も近い座れる場所はここである。「こんな時間にこんなところにいるなんて、お兄さんもギャンブル好きなんでしょ?」「はあ、まあ」「お兄さんはまだ若くていいけどさあ、オレ年金生活なのに、やめられねえんだよ」「はあ」「今日も全部負けて、すっからかんで、電車乗れねえから終わったら歩いて帰るしかないんだよ。でもねえお兄さん、夢をかけてんの」「はあ」「お兄さんはまだ若くて、会社の帰りなんでしょ?若いっていいねえ」。いやいや、もう私はお兄さんではなく、同じおっさんである。西海岸、スタートアップ、イノベーション、AI、lot(覚えていますか?ユビキタス)、仮想通貨、ブロックチェーン。そうしたものだけで新しい壁が築かれようとしているのなら、私は細やかながらも常に卵の側に立ちたい。おはよう、おっさん。(HK)

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