Editor's Room

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2018年3月30日(金) 「桜」

桜の花の下から人間を取り去ると怖ろしい景色になりますと坂口安吾は書いているが、怖ろしくてもいいので、人間を取り払ってくれて結構と思うここ最近の毎朝毎晩である。桜の一大名所である会社の周辺は桜の色が濃くなるごとに、人が溢れてきた。花見の人が写真を撮ったりして桜を愛でている中、毎年のことですっかり見飽きたのか、桜を見て楽しむという感性はすっかり朽ち果てた。今日も寝坊して急がねば遅刻してしまうのに道を塞がれ、ミスした仕事から一刻も早く遁走するために会社からいち早く遠ざかりたいのに、道を塞がれる。私にとっての桜の思い出はなんだろうか。大学の時、男だけで上野公園で花見をした。我々の上の桜はきっと美しかったのだろう。上野山の桜の森の満開の下、覚えているのは大量の酒と、誰かが持ってきたデスソースによって眼下のブルーシートの上で反吐とともに朽ち果てた汚らしい大学生どもであった。横たわる奴ら、いや我らの体にまとわりついた桜の花びらは、世界で最も汚い桜だったに違いない。今日も花見の雑踏の中、私の前のカップルが手をつなぎ、ダラダラダッラダラ歩きやがって、道を塞いでいる。桜を楽しむ感性は朽ちてしまった。だが、法界悋気という感性はまだまだ現役のようだ。(HK)

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