itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。
2018年3月9日(金) 「タワー」
氷室京介だという自己認識とは裏腹に、私のデスク島の近くにコーヒーメーカーがあるせいか、「Have a break」とばかりにコーヒーを入れるついでに話しかけたり、ちょっとした愚痴をこぼされたりして、最近はこの島はオアシスだと言われるようになった。こちらは氷室京介ばりに鋭い目をしてバリバリ仕事をしているはずなのに。白い巨塔は決して大学病院だけの話ではない。あらゆる組織という組織の中に、大小様々な塔が林立しており、塔を大きく高くしよう、塔を上り詰めようと躍起になっている。だが、高い塔には必ず日陰がある。塔の日陰で、安穏と惰性をもって長年ロードローラーのようにゴロゴロと転がってみれば、すっかり土色の平地ができるのである。塔へ上るハシゴを踏み外せば、奈落の底。緊張は高い。だが平地には踏み外すハシゴはない。それゆえ安全安心であり、この島はオアシスなのだろう。しかし、この土色の平地に塔を建て、それを高く大きくし、高みを目指すというのはあるべき姿であろう。一方で「あなたがそこに立たれると日陰になるからどいてください」とアレクサンドロス大王に言い放ったディオゲネスへの微かな憧れもある。(HK)