Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2018年3月2日(金) 「ひなまつり」

うちのお雛様たちはまだ押入れに眠っている。3日より前に出して、3日過ぎたらいち早くしまわないと嫁入りが遅れるというプレシャーもある。そのお雛様たちが我が家にきたのは3年前。嫁の実家から突然ダンボールで送られてきた。利用機会のなくなったお雛様たちの行き場として、我が家はとても適切で、まったく判断の余地なく、至極当然のように急にきた。男兄弟で育った私にとって、初めて触れるお雛様たちは、小物も多く、適切な置き場に困る感じだった。それから3年、人の適応力とは恐ろしいもので、我が家のお雛様担当大臣にまで出世した自分。個人的には食玩のガンダムくんも一緒に飾ってあげたいが、お雛様担当大臣の権限範囲外の模様。(T)

​住宅展示場に行った時、我が家の購買意欲をそそるための動画を見させられた。広く吹き抜けたリビングのある新築の大きな家。美人の奥さんと可愛らしい女の子が、ママ友とその娘たちを招待して、雛祭りをするのだという。単身赴任先から一時帰宅した夫と息子は「女の子の祭りだから入っちゃダメ」とリビングへの立ち入りを禁じられ、それでも吹き抜けの2階から暖かい目で雛祭りの様子を見守っているという微笑ましい内容であった。主婦の濃厚な夢という現実をまざまざと思い知らされ、私は愕然としたものであるが、雛祭りを見守るという行為さえ放棄さえすれば、自由が手に入るのだと動画は雄弁に語っていると、私はポジティブに読み取った。女の子だけの時間があるのならば、それはつまり男だけの時間があるということだ。カントは言う。「互いに自由を妨げない範囲において、我が自由を拡張すること、これが自由の法則である」と。プロ野球のオープン戦やJリーグの試合を見に行って、昼間からビールを呷るのもよし、旅行に出かけてしまうのもよし。趣味に没頭するのもよし。むろん勝手な行動によって妻に叱られることもあるかもしれない。だが、「荒々しい自由の海には、波がつきものなのだ」(トマス・ジェファーソン)。キング牧師は言うのである。「自由は決して圧制者の方から自発的に与えられることはない。虐げられていている者が要求しなくてはならないのだ。もちろん要求は恐怖だ。だからこそ、雛祭りというのは男にとって自由を手にする千載一遇の好機なのである。以上、親族縁者男だらけの私にとっての、雛祭りへの偏見である。(HK)

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