itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。
2017年11月24日(金) 「傘」
今年の誕生日に、妻から折り畳み傘をもらいました。ここ2,3年、ほとんど傘を差そうとせず濡れ鼠になる私を見かねた、行動変容を促す、渾身の誕生日プレゼントでした。しかし、案の定、持ち歩いてないので、雨が降ったときには持ってないし、家から出るときに雨が降っていたら普通の傘を使ってしまう。このお題をいただいて、あらためて考えてみました。会社に折り畳み傘を置いておこう。そのためには。。。引き出しを片付けよう。今日は金曜日で夕方にお片づけの時間がある。そのときに、折り畳み傘を入れるスペースを作ろう。そしてそこに、机にだしっぱなしになっているガジェット系も入れられるようにしよう。ついでにコップの茶渋も取ろう。傘のおかげで、自分のデスクも片付けてきれいになれば、一石二鳥。それをしっかりアピールすれば、2年連続で誕生日プレゼントをもらうという新婚時代のような快挙を達成できるかもしれない。(T)
傘がない。冷たい雨が降っているが、傘がない。よほどの雨でない限り、傘をさしたくない。だが、今はよほどの雨だ。でも、傘がない。しつこいくらいにサラエヴォの話である。サラエヴォの街は少し広がった渓谷の谷底にある。一筋の大きな道路(狙撃兵(スナイパー)通り)が谷底を走り、その大通りから鯉の滝登りのごとく取り囲む山々に向かって幾筋もの道が伸びている。一通りの用事と観光を済ませ、もう夕刻であったが、足をもう少し伸ばして徒歩20分ほど坂を上がったオリンピックスタジアムまで狙撃兵通りから歩いて登らんとする。サラエヴォオリンピックの夢の跡を暢気に観光するためであり、飲みすぎているコーラのカロリー消費のためである。獰猛そうな巨大な犬に尾行されながらも、登りきった先のオリンピックスタジアムで突如大きな雨粒が落ちてきた。登っているうちに、もう日は暮れてしまった。しかし、傘がない。スタジアムの壁はフーリガンの落書き。スタジアム周辺は人があまりおらず、敷地の一部はオリンピックの7年後に起きる紛争でのサラエヴォ包囲の犠牲者の墓地に成り代っている。その中をトボトボトボトボ濡れ鼠の東洋人は絵にならず、ただただ冷たい、寒い、寂しいと、繊細でふわふわした柔らかいビール腹の中年は思うのである。通勤のカバンにも折りたたみ傘を入れているのだが、よほどの雨でない限り、傘はささない。取り出すのが面倒だ。片手が塞がるのが面倒だ。干さないと臭くなるのが面倒だ。たいてい干し忘れて、一度傘をひらけば、生臭さが鼻腔いっぱいに広がるのが不快だ。それなら、雨に濡れたままの方がいい。帰路なら家に帰ってシャワーをすぐに浴びればよく、服は洗濯、じきに鞄も乾く。だが今は傘がほしい。まずは谷底に転げ落ちねば。(HK)