Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2017年4月7日(金) 「入学式」

富士には月見草がよく似合う。入学式にはさくらがよく似合う。であるがゆえに、毎年迷惑を被っている。駅から会社の途中には武道館があり、千鳥ヶ淵がある。ただでさえ花見客で混雑しているのに加え、毎日どこかしらの大学が武道館で入学式をするものだから、朝の通勤時には不安と希望の入り混じった表情の初々しい新入生たちで駅がごった返すのである。憂鬱は始まる。この人混みを乗り越えぬ限り、ビジネスマンとしての真価を発揮もしくはまざまざと露呈する場である会社にたどり着かない。それにしても、なぜ群れるのか。なぜそこに誘導するのか。蛇足だが、誘導に関しては同僚が憂さ晴らしで大学ごとに流行りのビッグデータを全く駆使しないエビデンス度外視の主観的格付けし、我々は「今日は○○大学だから、違う出口を使ったほうがいい」と大いに活用されている。閑話休題。苦しい受験勉強を乗り越え、晴れの舞台に立たんとする新入生たちが、人生18年間培ってきた日本語を忘れ、「うぇーいうぇーい」としか言えなくなるような最高学府たる大学教育とは何か、教育論を披露したくなる。むろん、私は「うぇーいうぇーい」を忘れなかったゆえの成れの果てである。ようやく人の波に乗り、牛歩のごとく先に進むと、待ち構えるは、「ノーベル賞受賞者の人がほとんど読んでいるベストセラーです、どうぞ」とキリスト教系新興宗教の方々が聖書を手渡そうとし、正義感溢れる学生運動家の方々は政権打倒のビラを配らんと待ち構える。ならば、極めてかわいらしい女子大生が軟派なインカレテニスサークルのビラを手渡してくれれば、活力になり、今日1日仕事頑張ろうとエネルギー満ち溢れるのであるが、女子大生たちのターゲットは実に明瞭であり、中年の小太り男とになんぞ目もくれないのだ。人の大波によって道の端におしやられ、道端の木の枝がぶすぶす刺さる。血だらけで会社に到着してみれば、息も絶え絶え、虫の息。朝から疲れた。(HK)

小学校では常にポールポジションを狙える順位であったから、中学校に入ればもう少し後ろの方にいたいと願ったものである。複数の小学校から生徒が集まる中学校であったにも関わらず、私の順位はやはり表彰台すらも狙える順位であった。学年で整列した時の背の順である。思えば大していい思い出のない中学校生活は、あみだくじで決められた入学式の挨拶に始まり、希望していた剣道部の廃部あり、地球と戦って靭帯の切断ありと悪いことづくしであった。どうやったら背が伸びるのか。中学生で携帯電話を持つことがまだ珍しかった当時、図書館などで資料を読みあさった。見つけたキーワードは「カルシウムの摂取」。それ以降、馬鹿の一つ覚えの如く食事という食事で牛乳をがぶ飲みし、お弁当のご飯のレイヤーには厚切りチーズを敷き、肉や魚の骨という骨まで噛み砕いて徹底的に摂取量増量に努めた。その年は一週間の家庭内牛乳消費量が20リットルを悠に超えていたというから、いつの時代も逼迫する赤字財政を更に悪化させていたに違いない。乳牛を買った方が安くないか。その年、応援していた某日系F1チームは表彰台を複数回獲得したが、私も目標通りそれ以降毎年10センチ身長が伸びて順位を中盤まで下げ、シューマッハの背中は遠くなれど入学時の面影は少しづつ無くなっていた。春になると思い出す、ダボダボの学ランに着せられてる入学式の記念写真。皆様、良い週末を(N)

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