Editor's Room

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2017年2月10日(金) 「祭り」

友達が極めて少ないという結果による一人旅でラマダン期間中にイスタンブールにいた。「東京生まれ HipHop育ち 悪そうな奴はだいたい友達 悪そうな奴とだいたい同じ」とは極北にいる気弱で品行方正な青年であった私にとって、一人でイスタンブールのナイトライフを楽しむなんぞ言語道断。イスタンブールの悪そうな奴には近寄りたくない。イスラム教国でラマダン期間中にもかかわらず、当たり前のように売っているビールを飲みながら、トルコリーグのサッカー中継を一人ホテルの部屋で見るのである。トラブゾンスポルのヤッタラー選手のプレーではなくその名前に胸熱くしていると、試合中にもかかわらずCola Turukaという地元ブランドのコーラのCMがじゃんじゃん流れていた。ラマダン終了を祝うイド・アル=フィトルという祭りでは、家族団欒を巨大3リットルボトルのコーラを飲みながら楽しみましょうとのこと。苦行からの開放感。日本なら全てが酒に向かうが、そこは建前では禁酒の国。コーラに向かうのかと。もし、私がコカコーラ社員であるならば、こんなに喜ばしいことはないだろう。CMがコカコーラのライバル社だとしても。クリスマスにバレンタインにハロウィン。日本はすっかり南蛮船に乗ったバテレンに侵されている。かといって、排斥するようでは八百万の神を信じる日本人らしくない。ならば、世界三大宗教の一つであるイスラム教からラマダンは苦しいからいいとし、イド・アル=フィトルだけでも導入してもらえないだろうか。コーラ、コーラ、コーラ。コーラを飲み過ぎて太る?ならばたるんだ腹を震わせながら後の祭りを楽しめばいい。(HK)

日本文化の奥深さに、それぞれの地域に根付いた祭りがある。季節や気候、規模やしきたりなど、代々受け継がれてきた伝統を披露する機会があるとは、何と人生を豊かにする行事なのだろう。さらにその多くは戦国時代に和平を願ってできたもの、疫病の退治を祈祷したものなど歴史的背景があると知れば更に津々浦々の祭りに対する見方が変わってくる。日本で一番規模の大きい祭りは青森県のねぶた祭り。後に征夷大将軍となる坂上田村麻呂が、敵をおびき寄せるために笛や太鼓ではやし立てたことに由来するこの夏の風物詩は、多い年で300万人を動員する。はたまた博多祇園山笠の舁き手に「アメリカでは年に一回、テレビを見ながらアボカドディップを食べて盛り上がる日があるんだよ」と言おうものなら、「我々の行事の歴史と奥深さを見てみろ」と鼻で笑いながら一蹴されるに違いない。そして今、北海道のさっぽろ雪祭りが佳境を迎えている。大小さまざまな、形の異なる雪の彫刻が通りに並ぶ光景は壮観、らしい。アジア各国からチャーター便が組まれるほどの盛り上がり、らしい。訪日客の「爆買い」は越境ECの成長で一過性となっても、伝統行事は日本にいてこそ体験できるものである。「祭りっていってもさあ~」というエディターHKを横目に、この春はどの祭りで日本文化に触れようか迷う雪降る午後である。春の到来は、まだ遠い。皆様、よい週末を。(N)

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