Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2016年9月16日(金) 「見栄」

酒に強いことを誇る人は多い。人としての強さではなく、体質の問題なのに。だが、とくに大学1年生や2年生となると、酒とタバコの味を覚えることを子どもから脱皮しきった大人としての自我確立完了の証明とばかりに誇るのである。もちろん覚えられない人もいる。ここで真打登場。見栄のお出ましである。まだ酒の美味しさが皆目わからぬ我々に対して、普段から「サークルの飲み会でバケツで飲んだ」だの「先輩を潰した」だのと己がいかに酒豪であるか豪語している同級生がいた。酒の飲めることこそが己の矜持の極致であるかのように。しかし、初めて彼と酒を飲むと、彼なりの見栄であることが露呈してしまった。コップ1杯のビールをクシャおじさんのごとき顔をして飲む彼の姿によって。何をバケツで飲んだのか。潰れた先輩はどこにいるのか。見栄なんて捨ててカルーアミルクでもすすってれば楽になるのにと、苦すぎるビールをすすりながら思うのである。くしゃおじさんのごとき顔をして。(HK)

歳を重ねるたびに、見栄がどんどんなくなっていく。見栄を張ることのバカバカしさが分かってくるからだろう。もちろん、言わなくてもいいことは言わないし、言って恥ずかしいようなこと、自慢になるようなこと(あんまりないけど)は控えるが、聞かれたら、割となんでも素直に答えるようにしている。人間、等身大が一番楽である。ちなみに、お酒は全然飲めない。若いころは、ちょっと見栄を張ったり、無理して飲んでみたりしていたが、そもそも、全然おいしくないし、気持ちも悪くなるので、今は最初からウーロン茶である。「お酒が飲めないとつまらないでしょう?」と言われたことも数えきれないが、飲みすぎて、普段の数倍、楽しそうな人、同じことを延々、繰り返す人、泣き出す人など、人間ウォッチができるので、全然つまらなくないのである。(M)

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