Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2016年9月2日(金) 「化粧」

電車の中で化粧をする女性をたまに見かける。マナー違反と批判する声も多く、確かに男だったら車内で鬚を剃るようなものだからその通りだが、他人の化粧前と化粧後の比較を見せつけられては、素直に感嘆と脅威を覚える。文化人類学に基づいて、古来からの伝承を紐解くと、一つの仮説が生まれる。日本昔話で、人を化かすタヌキやキツネ。あれの正体は女性なのではないか。多くの女性は化粧をし、多くの男は化粧をしない。なぜ多くの女性が化粧をするのか、もしくはせざるをえないのか。そして、なぜ多くの男は化粧を必要としないのか。悠久なる人類史に思いを馳せつつも、実は男の方が相対的に顔が整っているから化粧を必要としないという仮説を立てたところ、それはまったくもって日の目を見ることを許されない、撤回と謝罪を余儀なくされる仮説なのだと痛感した。ジェンダーフリーの叫ばれる現在において、女性には化粧をしない権利を有し、男は化粧をする権利を有する。私ももう少し時代が進めば小顔メイクを施したく、その時に備えてイメージを膨らませたところ、毎朝面倒だという結論に至った。極限まで寝ていたい朝、化粧などイラついて仕方ない。私は素の顔で絶望的な負け戦さに挑むほかない。化粧をする人は、毎朝は早起きして毎朝飽くことなくルーティンをこなす。その成果はどうであれ、私は圧倒的な敬意を表するものである。(HK)

昔から厚化粧に憧れている。似合う、似合わないはさておき、どうやったら、厚化粧ができるのか、顔が跡形もなく変貌するくらいのメイクができるのか、常々興味をもっている。化粧品を買いに行くと、だいたいが「カバー力はあるけど、薄付き」とか「透明感を出す」といった商品にしか出会わない。「ばっちり厚化粧風のメイクができる化粧品」という商品は売れないのだろうか。もしくは私の塗りが足りないのだろうか。そう言えば、新入社員の頃に出会った、厚化粧気味の先輩は、1時間おきにメイクを直していた。そのまめさが私には足りないのかもしれない。その結果、微調整程度のメイクを何十年もしている(今となっては、この微調整がないと外にも出られないのだが)。一度、顔が変貌するくらいの厚化粧をしてみたい。「一生のうちでやりたいことリスト」の最初に書いておこう。(M)

itoh.comトップ > エディターズ・ルーム

go Pagetop