Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2016年7月1日(金) 「説教」

前職時代の上司は志村次長(仮名)。これほどまでに典型的なナイスミドルの人がいたのかと、未だ敬意を持っている。十八番は親父ギャグ。業務中の思わぬ拍子に、眼鏡の奥の眼を動かし、一人で「流し目監督」とニヤニヤして呟く(当時の読売巨人軍監督長嶋茂雄氏と流し目を掛けたと思われる。笑いの教養はじきに若い私の心を鷲掴みにしてしまったが、もしかしてこれがストックホルム症候群なのかもしれない。たまに飲みに連れて行ってくれる(割り勘)。たいてい一緒に行くのは、仕事のためなら全員が敵でも構わないという、和と根回しを尊ぶ私にとっては仲良くなれないタイプの佐藤くん(仮名)である。いつもこの飲みの席で志村次長は佐藤くんを説教していた。一呼吸おいて、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。上を上と思わず不条理に対して大反発する彼を、中身のぎっしり詰まった稲穂は頭を下げるように、本当に仕事のできる人とは謙虚なものだと諭すのである。さらに熱くなる彼に対し、「心頭滅却すれば火もまた涼し」と故事成語を浴びせるのである。さすがマスメディアの会社。言葉の引き出しが実に豊富だと改めて感服しつつ、説教の矛先がこちらに向かないよう、手もみして胡麻をするのである。(HK)

説教は嫌われる。だが、若者の間でも、写経に行ったり、ありがたい「お説教」をいただきに行ったりする人も少なくないらしい。つまり「説教」が嫌われているわけではなく、「その内容」に問題があるのではないだろうか。分かり切ったことばかり言う、ピントがずれている、またはしつこい。嫌われるのは説教だからではなく、内容(もしくはその人)によるのだろう。そしてふと、子どもにいろいろ言っている自分を思い出してみた。まったく聞いていない我が子・・・。ずっと我が子のせいだけにしてきたが、どうやら私の話す内容(または私自身・・・)にも問題があるようだ( ;∀;)。ほんと、びっくりするくらい、響かないのは、自分にも問題があったとは。上手な説教の仕方講座があれば、ぜひ参加してみたい。(M)

itoh.comトップ > エディターズ・ルーム > 2016年バックナンバー

go Pagetop