Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2016年2月5日(金) 「落し物」

「♪ 落し物はなんですか 見つけにくいものですか カバンの中も机の中も探したけれど見つからないのに」と口ずさみながら落し物を探していたら、「違う。落し物ではなく、探し物だ」と指摘されて愕然とした。約20年間は落し物のテーマソングとして口ずさんでいたのを否定されたのである。井上陽水の滑舌のせいにしたいが、私の思い込みの強さのせいだ。思い込みの強いせいで、落し物をしても「こんなところに落ちているわけがない」と見つかる可能性を最初から窄めるため、見つかる物も見つからない。だが、思い込みの強さとは信じる強さだ。フットサル中に結婚指輪を結婚1ヶ月で無くしたことがある。妻の逆鱗に触れるどころか、逆鱗に抱きついて頬ずりするような無謀な所業だ。おそらくフットサルコートのゴール裏だと目星の場所をいくら探しても見つからず、一旦諦めて、怒られたくないから渋谷の露店でおそろしく安いシルバーの指輪でも買ってごまかそうか。そう思いつつも、奇跡を信じて、翌朝もう一度フットサルコートに赴いて地面に這いつくばって探しすこと数十分。見つかった。信じるものは救われた。あの時ほど安堵したことはそうそうない。(HK)

何年かに1回、非常に大切なものを落とす。3年前ほど前にiPhoneを落とした。致命的だ。iPhoneは高く売れるらしいとか、そういう悪い情報ばかりが頭をめぐる。だが、その当日、警察から自宅に電話があり、私のiPhoneは戻ってきた。道に落ちていたところ、誰かが拾って届けてくれたらしい。その時はロックもかけていなかったので、警察が中を見て「自宅」と書いてある番号に電話をくれた。アドレス帳に恥ずかしくなるような暗号を使ってなくて良かった。ロックをかけてなかったのも幸いしたらしい。iPhoneを落としても出てくる、日本っていい国だ。昨年は自宅の鍵を道で落とした(らしい)。行ったお店や警察、乗ったバスの会社に電話をしても、それらしきものは届いていない。ダメ元で、前を通りかかっただけのデパートに電話をしてみた。するとデパートの前の道で拾ってくれた人が届けてくれていた。受け取った鍵は自転車か車にひかれて、ややボロくなっていたが、それでも嬉しかった。鍵の交換もしなくてすむ。日本って本当にいい国だ。それをたまに確認したくて、私は落とし物をしているのかもしれない。(M)

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