Editor's Room

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2015年10月30日(金) 「ルーティン」

ラグビーW杯。五郎丸選手のゴールキックの際のルーティンポーズが話題となった。日本代表の躍進の中心選手の特徴的な行動によって、とってつけたようにルーティンが何かの成功律のごとく語られ始めているが、成功者がたまたまルーティンを取り入れただけであり、ルーティンを取りて入れているからといって成功できるとは限らない。当社では、朝礼の司会、ファックス当番、昼休みの電話当番、給湯室掃除がフロア毎に内勤に振り分けられている。数人にグループ分けされ、週1回当番として回ってくる。朝礼の司会は、カナダ人の独占場だ。英語でスピーチをし、毎週水曜の朝は黒船来航だ。蛇足だが、"Have a nice day!"と締めくくるが、返答に困る。"YOROSHIKU ONEGAI SHIMASU."のグローバル化を望む。閑話休題、ファックス当番は他人への連絡が面倒。選択肢は電話当番か給湯室掃除である。電話当番の場合、社名がカタカナのせいで、私の脆弱な舌では、とても淀みなく自社の社名を電話口で言えそうにない。自社の社名すら淀みなく言えない中年男が電話口に出ることは、会社の沽券に関わる問題である。よって、同僚からは一番嫌がれている給湯室掃除を率先して選ぶことによって、電話当番が回ってこないよう予防線を張っている。そして給湯室掃除が、毎週水曜日の欠かせないルーティンとなった。一人、薄暗い給湯室で、五郎丸選手のようなポーズを取るわけではなく、自身が毎日弁当箱を洗うのに使うからと洗濯機をぐるぐる回して布巾を洗濯し、食中毒にならぬようにとハイターとカビキラーをばら撒くことによって、塩素ガスを発生させかける。このルーティンによって、私が得るものとは、直面している業務上の課題からの15分程度の現実逃避であり、成功ではない。(HK)

私の数少ない趣味の中に、テニス観戦がある。錦織選手の活躍で、チケットが取りにくくなって困っているが、人気が上がったのは喜ぶべきなのだろうか。テニス選手には必ずと言っていいほど、ルーティンがある。特にサービスの時には、どの選手も、決まった動きがある。ボールを選ぶときに持つボールの数、選ぶまでのしぐさ、打つまでの動き(ボールを何回つくかなど)など、それぞれの特徴があって、面白い。中でもスペインのナダルのルーティンは興味深い。サービス以外でも、ペットボトルを置く位置は決まっていて、ラベルは必ずコート側に向いてないといけない。コートのラインは決して踏まず、またぐときは必ず右足から。靴下の向きも決まっているらしい。こういう目で試合を見ていると、また観戦が楽しくなる。自分にはこういったルーティンがないことに気づく。つまらない。朝起きてから、夜寝るまでの間を思い出してみたが、やっぱり何一つない。「その一瞬にすべてを懸ける」、そんな一瞬がある生活に憧れる。何かスポーツでも始めようかな(安直すぎる)。(M)

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