Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2015年9月11日(金) 「悲劇」

先日、ぶ厚い胸筋と割れた腹筋を手に入れるべく、台風の風雨を切りながらスポーツジムのプールに行った。前回来たのはいつのことか。少なくともここ数ヶ月、記憶はない。更衣室で水泳パンツに穿き替える。鏡で己のボディーラインの確認など一切せず、プールへと直行する。私はユリウス・カエサルではなく一般市民なので、見たくない現実など見ないのだ。タオルをプールサイドの棚に置き、まずはウォーミングアップとして25メートルプールのさらに奥にあるウォーキング用のプールへ向かう。ここのウォーキング用のプールは天然温泉であり、シェイプアップ効果もきっと抜群だろう。年配の方々に混じって、プールの中を歩き始める。まもなく手に入るであろう分厚い胸筋と割れた腹筋を想像しながら歩くこと1分、臀部のあたりに違和感に気付く。手をやる。本来するはずの水泳パンツの生地の肌触りはなかった。おそらく衆目に晒してはならない部分の肌色が露出しているのではないかと。生地と肌の境目を指でなぞると、500円玉ほどの穴が臀部に空いていることが類推できた。見たくない現実が目の前に広がった。タオルがある棚までおよそ50メートル。そこにたどり着くまでおよそ20人以上の老若男女。水中に潜っている人を除いても10人は下らない。しかし、たかが10人である。ぶ厚い胸筋と割れた腹筋を既に手にしているのなら、羨望の眼差しがあろうものの、この醜い肉体に視線を注ぐ人などきっといない。隠そうとして不自然になるのではなく、一泳ぎした風を装って堂々と歩みを進めれば、意外と気づかれないのではないか。信じる。そして賽は投げられた。プールから上がり、私はルビコン川を渡った。その刹那、「お疲れさまでした!」とスタッフが明るく元気に声を掛けてくる。燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや。(HK)

数年に一度、びっくりするくらいの勢いで自転車で転ぶ。自分も周囲の人もびっくりするくらいの勢いである。高校時代、片道1時間もかけて学校に自転車で通っていたので、自転車の腕前には自信があるが、どうやらこの自信が原因になっているようだ。ちょうど1年くらい前にも、またやってしまった。エディターM史上、一番派手な転び方である。転ぶ瞬間は、スローモーション。「あーー、なんか、ころんでるみたいぃぃぃー」と思っている間に、ガードレールに頭を強打、左手のひらと両足ひざに大きな怪我(足のけがは今も跡が残っている)。きっとあと20歳以上、若ければ、少し離れたところにいたおじさんが起こしてくれたかもしれない。もしくは、あと20歳以上、歳を重ねていれば、近くのコンビニの親切な若者スタッフが助けてくれたかもしれない。中途半端な加齢とは残酷である。誰も助けてくれないので、頭の痛み(打撲)と手と足の痛み(流血を伴う怪我)、そして心の痛み(ショック)に耐えながら、よろよろと立ちあがった。そして懲りずに自転車に乗って家まで帰った。我ながら逞しい。足の傷は残っているものの、心の傷はすっかり癒えた。自転車での次なる悲劇に遭うのはこんなタイミングかもしれない。(M)

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