Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2015年4月10日(金) 「美容室」

デキるビジネスマンはイケてなければならない。イケてる男になるためには、美容室に行って小洒落た爽やかなヘアスタイルにする。もちろんお洒落になってモテたいという切望も小脇に抱えて。若かりし日の思いである。ただ、デキるビジネスマンは、コスト感覚に優れているという。安いだけではダメ、コストを度外視してもダメ。コストパフォーマンスの最大化である。アラフォー世代となった今、美容室に行くことはコストパフォーマンスの最大化となるだろうか。美容室でカットだけだと、約1時間で数千円。デキるビジネスマンとは時は金なりを信条にしており、カットに1時間は長い。また、結婚し子供も生まれたとなると、小脇で丸出しにしていたモテたいという切望は、鞄の目立たぬ奥底にしまわなければならない。さらには、美容師が話しかけてくるなど余計なコミュニケーションコストも甚大である。渡された雑誌の世界に没頭している振りをせざるをえない。なぜこの年で「MEN'S NON-NO」を1ページずつ舐めるように熟読せねばならぬのか。きっと「オッサンのくせにファッション誌真剣に読んでるぜ、無駄だ」とクスクス嘲笑しているであろう美容師の視線にも耐えなければならない。マッサージされているシーンなんぞセクハラだ。そもそも、どうも自分はデキるビジネスマンではないという現実は如実である。もはや数千円払う価値もまた見出せなくなった。美容室に行ったのは何年前のことか。今は、駅ナカの10分カットを愛用している。コミュニケーション無し、時間ロス無し、ローコスト。仕上がった散切り頭を叩いてみても、文明開化の音はせず、デキていてイケているビジネスマンにはならない。が、せめて腕のいい理容師に切ってもらおうと、偶然出会ったとそれなりに腕の良いニューハーフ的な理容師に当たるよう、ある駅ナカの10分カット店で購入したチケットを手に、祈るのである。コストパフォーマンスの最大化をはかるため、そして、まだ絶望的となったデキていてイケているビジネスマンに半歩でも近づきたいという夢を諦めきれないため。(HK)

最近、週末に3時間ほど自分の時間がもてるようになった。それを友人に伝えると、何人かが口をそろえて「3時間あれば、美容院行けるね」と言う。そう、美容院に行くには3時間が必要なのだ。子どもがいると、この3時間が確保できない。気がつくと半年も伸ばしっぱなしということが、もはや何年も続いている。美容室のイスに座ると、毎回必ず「今日はどうしますか?」と聞かれる。昔はこんな髪型に・・・こんな雰囲気に・・・と言っていたが、今はただ「長持ちして、変に若作りでなく、老け込むこともない髪型」と答える。ざっくりしすぎていて、難しいとは思うのだが、それが希望だから仕方ない。そしてだいたい無難で変わり映えのしない髪型に仕上がる(でもこれも希望だから仕方ない)。今、担当してくれている美容師さんは不必要なことは話さない。「これからお出かけですか?」とか、絶対に興味がないだろうと思うような質問もしない。黙々と、無難な髪型にしてくれる。いつか「パープルに染めてください」と言うようになるまで(ならないと思うが)、今の美容師さんと付き合っていきたい。(M)

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