Editor's Room

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2013年9月13日(金) 「長く使い続けている物」

小学生の時から使っているものがある。爪切り用のハサミである。当時は、今のようにネイルサロンもなく、「ネイルケア?それなに?」の世界だった。だがそんなとき、化粧品店を営んでいた叔母が、私にネイルケアセットをくれた。その中に入っていたのが、そのハサミである。そのキットの「爪切りでパチンパチンと爪を切ると、爪がダメージを受ける」という言葉が強く印象に残ってしまい、それ以来、●十年、このハサミで爪を切り続けている。実家を出て、一人暮らしを始める際にも持参したし、アメリカで暮らしたときも持っていった。●十年使っているのに、切れ味はまったく衰えず、素晴らしい仕事をしてくれる。このハサミのおかげか、もともと爪が丈夫なのかはわからないが、二枚爪になったこともない。指を通すリングのラバーが片方取れて、切るときに指が痛くはなるが、このまま自分で爪が切れる間は、このハサミを使い続けようと思っている。(M)

長く使い続けているものなどない。ギタリストとして参画していたヘビーメタルのバンドのライブ中、バイオレンスの渦巻く中、私は雄叫びをあげてギターを破壊しまくっていた。豪放磊落な性格が災いしているのだろうか、と挨拶代わりの虚言を披露しつつも、モノに対する扱いが悪いのか、新しいものにすぐ目移りするのか、使い続けているものなどないというのは事実である。ただ長く使い続けているブランドはある。iMacだ。13年前、ジョナサン・アイブによる今までのパソコンのデザインを根底から覆す衝撃的なスケルトンデザインのiMac。再びの大学デビューをより確実なものにするために、「洗練されてオシャレ」と勘違いさせて、すりガラス越しで見れば少しは可愛く見えないこともない彼女を手中に収めるために。iMacだけで人格までは変えられなかったので、目的はすぐに破綻したものの、それからは基本的にはiMacを使っている。ソフトや周辺機器などMacしか対応していないものが多く、逃げられなくなったこともあるが、iMacが使いやすく、また掃き溜めに鶴であろうと、部屋に置いているとオシャレだと盲信しているせいもある。美味しんぼという漫画で、登場人物の山岡士郎がWindowsに罵詈雑言を浴びせ、Macを手放しに称賛する話があったが、その影響もあるかもしれない。2年前に子供が生まれた際、妻が「iMacは大きくて邪魔だ」と主張し(「お前も邪魔だ」とまでは口頭では言われていない)、私としても5年も経った使い古しのiMacだったので、家族から譲ってもらった2009年モデルのMacBookProに切り替えたのだが、近々の引っ越しで猫の額ほどの自分の部屋(通称牢獄)を確保できそうなので、引っ越しのどさくさに紛れてiMacに戻ろうかと思う。(HK)

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