Editor's Room

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2013年6月14日(金) 「第2外国語」

第二外国語で履修したフランス語は私の人生を豊かにしてくれた。情熱を持って「こんな問題もできないなんてミゼラブルだ」と指導してくれた恩師の顔は未だによく覚えている。和訳に詰まると「あなた、留学生?」とも気遣ってくれた。フランス語以外でも、私は積極果敢に数多くの語学に取り組んだ。朝鮮語、トルコ語、アラビア語、現代ギリシア語、ラテン語、サンスクリット語。シラバスは知の宝箱であった。教養科目として少しでも興味のあった語学を漏れなく履修登録し続けた。英語は中学生の頃合いに、フランス語も1年生の段階でとうに諦めていたので、マイナー言語で一発逆転を図ったのである。どれか一つでも身に付けばと期待をこめて。バトゥ率いるモンゴル騎兵の通り過ぎた後は草木も生えなかったという。同様に、私の進級の跡には語学単位の屍が累々と積み重なった。その惨憺たる光景は、成績表が雄弁に語っている。なぜこのような体たらくなのに、反省しないのか。後悔の方が楽だからである。幼稚園児の頃、ドイツ語しか話せなかったが、日本に帰国するやいなや、一年そこらで完全に日本語に上書きされてしまった。よほど頭のキャパシティがないらしい。だが、最近吉兆がある。頻繁に日本語の単語が出てこなくなり言葉に詰まるのだ。いつのまにか別の言語を習得しつつあるようで、日本語が何かに上書きされている実感がある。その言語が何であるかは未だ不明だが。(HK)

第1外国語(英語)でさえおぼつかないのに、第2外国語を履修させる意味とはなんだろう。もっと第1を極めたほうがいいのではないだろうか。と思いつつ、学生時代、仕方がないのでフランス語を取った。驚いたのは、名詞に性別があることだった(そんなことすら知らなかった私)。それも「これって女性っぽいよね」「これは男性だよね」という先入観は通用しない。ほぼ規則性もルールもないから、たまったものではない。それに加えて冠詞もなんだか難しい。発声の仕方にも手こずる。でも何を言ってるかわからないけど、聞いているのは心地よい。雲の上を歩いている気持ちになる。かといって、語学としてのフランス語は自分にはまったく向いていなかったようで、結局、今覚えているのが「私は○○です」と数だけという、切ない結果である。そして今も思う。第2外国語履修って必要なんだろうかと。(M)

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