Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2013年1月18日(金) 「雪」

東京にも毎年のように雪が降る。そしてその度に「東京は雪に弱い」ということが話題になる。しかし特に対策が取られるわけでもなく、毎年、雪が降り、雪に弱いことが露呈される。今年も、ニュースで同じフレーズを耳にした。不思議である。私は雪が好きだ。多分、雪深いところで生活したことがないので、本当の苦労を知らないだけかもしれないが。あの雪がもたらす静寂がたまらなく好きだ。都会の音を吸収し、雪のときしか味わえない静けさがやってくる。しばらくすると、子どもたちのはしゃぐ声が聞こえるようになるのも、なんだか楽しい。しかし、それはほんの一瞬。止んだ後の雪かきや、翌日の凍った道路を考えると憂鬱になる。(M)

自宅の目の前に2キロほどあるケヤキ並木の参道があり、その先に大きな神社がある。先日の大雪の際、普段しない散歩をしてみた。既に相当降り積もっていたので、歩くのに難儀したが、楽しい。私は犬ではないが、雪が降るとはしゃいでしまうのだ。雪国の人に怒られるかもしれないが、非日常性に浮かれてしまう。これは、もはや散歩ではなく雪国への旅行である、そう思い込む。普段は多くの人が参拝に訪れる神社も、あまり人がおらず、静まり返って風情がある。松尾芭蕉なら一句詠んでいるだろうが、私にはその心得がないのが悔しいかというと、そうでもない。野次馬的な心が働き、駅に行くと、電車は軒並み運転を見合わせていたが、新幹線だけは元気に動いており、さすが雪国を走るだけあると感心した。ただ、駅に向かったことは失敗だった。駅は日常だ。そして駅から自宅までの道も日常だ。楽しい散歩が苦行たる帰路となってしまった。寒い、滑る、濡れる三重苦。バスを使おうにも、バス停は長蛇の列で、さらにバスがいつ来るかもわからない。非日常性に浮かれて、散歩に出たことを後悔しても後の祭り。やはり雪は旅先の温泉地に限る。(HK)

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