Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2012年7月27日(金) 「発熱」

先週金曜日、40度の熱でダウンした。そのせいで大切なエディターズ・ルームに何も書くことができなかった。非常に残念である。大人で40度の熱を出すと、別世界が見えてくる(気がする)。熱が上がる前に、悪寒と共に手足が冷たくなる。今から熱が上がるというサインだ。内臓をウイルスから守るために、熱が身体の中心に集まるので、手足などが冷たくなるそうだ。人の身体って本当にスゴイ。熱が上がりきると、手足は身体同様に熱くなる。そして一晩中、うなされる。意識はあるが、口から何か言っていないといられない状態だ。38度台に下がると急に元気になるが、また悪寒が襲ってくる。これを何度も繰り返した。大人になると、40度まで熱が出ることは稀で、そこまで発熱するのは、身体が健康だからであるという説もある。つまり、ウイルスをやっつけるために、それだけのパワーが発揮できるからということらしい。本当に健康なら、ウイルスをはじいてくれそうな気もするが・・・。40度の熱が去ったあと、ここしばらく感じたことのない身体の軽さを感じることができた。熱によって、体内の悪いものが全部、退治されたような感じだ。たまに熱を出すのも悪くはないのかもしれない。(M)

人間は、二種類に分類することができる。学校に行く前に、あるいは出社する前、何度も何度も体温を測った経験のある人、または、体温計を持っていない人。私は前者に分類される。神にすがる気持ちで発熱を待望し、その都度都度、神の存在に疑念を抱く。どうして発熱に憧れるのか。発熱したら、苦悶するだけにも関わらず。そう、我々は朝起きたくない、学校に行きたくない、会社に行きたくないための大義名分が欲しいのだ。劉備は漢の復興を旗印に蜀を建国した。北条氏は源氏嫡流の断絶により、九条家より将軍を迎え入れた。上杉謙信は関東管領という大義名分を得て、関東進出を図った。織田信長は天下統一のために足利義昭を擁立した。マムルーク朝は非アラブ人の奴隷騎兵が王位にあるがために、その正当性をウマイヤ朝のカリフ存続に持たせた。妻は家庭を守るという大義名分によって、私から財布を取り上げた。歴史は大義名分に溢れている。私は体温を測り続ける。(HK)

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