Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2012年5月18日(金) 「どうしても捨てられないもの」

ものは増やさないと意識して、生活しているのに、どんどんものが増えていく。今、流行の「ときめく」か、「ときめかない」か、で物を分け、捨てて行く方法があるが、ほとんどのものに「ときめく」といえばときめくし、「ときめかない」といえばときめかない。中でもどうしても捨てられないのが、昔から大切にしていた本である。ある作家が大好きで、初版のものばかり集めていた時代があった。大切なコレクションで、いつか、読み返したいと思っているのだが、なかなかそんな時間がない。コレクションとは言いながらも、飾ったりすることもなく、ダンボールに入ったまま、何年も日の目を見ていない。でも、これだけはどうしても捨てられない。いったい、いつまでどこまで持って行くつもりだろうか。(M)

部屋が汚いと頻繁に叱られる。家にいる時間は圧倒的に妻と息子の方が長いため、本来なら私が説教する立場だが、散らかっているのは私のものが大半で、さらに妻に説教なんてそんなおこがましいこともできるわけもなく、叱られることを甘受している。断捨離という言葉が流行っていることもあり、我が家への導入も検討しようかと思ったが、私自身が断捨離されてしまう恐れが高いので、見送っている。電車の中で『人生がときめく片づけの魔法』という書籍の広告を見たので、著者の顔だけで良書と判断して紐解こうとしたところ、「ときめく」「魔法」さらには著者のブログタイトルにあった「乙女」というキーワードによって、私がその書籍を読むことは、良くても気色悪い、最悪周りに対するセクハラになってしまうのではないかと考え、断念せざるをえなかった。コンプライアンスという時代の潮流に敗北した。整理整頓の思想や書籍に触れられないせいか、捨てられないものは多い。極みは幼少時に空港のX線検査するだけで大泣きするほど、常に手放すことができない昔の日比谷線のブリキのおもちゃである。30年たった今でも捨てられず、未だに自分の机の上に飾っている。片づけブームの根底には、自分をリセットしたい、変えたいという思考があるのではなかろうか。ただ思うは、歴史がどうやっても変えられないように、今の自分がこれまで歩んできた人生の積み重ねである以上、それをリセットすることはできないのではないか。歴史に対して謙虚になればなるほど、何かを捨てるなんて何という暴挙か。こう主張したところ、また叱られた。(HK)

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