Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2012年1月6日(金) 「餅」

子供のころ、お正月の前になると家で餅つきが行われた。考えてみたら、すごいことだ。家族だけで杵と臼を出し、もち米を蒸し、家族総出で餅をつく。よもぎの葉も近所から採ってきた自然のもの。あんこも小豆から作っていた。まさに全部手作りだ。私たち子供は丸める係だった。よもぎのお餅は、子供ながらに香り高い美味しいお餅だと思った覚えがある。いい思い出だ。それがいつからか、電動餅つき機になり、いまやホームベーカリーでお餅がつけるようになった。非常に便利ではあるが、風情や情緒はない。多分、私の人生で二度とお餅をつくことはないだろう。ちゃんと写真でも撮っておけばよかったと、最近頼りなくなりつつある自らの記憶力を呪うことが多い。今年もよろしくお願いします。(M)

艱難辛苦たる現実から逃避するために画餅充飢しているといって滔々と愚痴を述べたいところだが、どうも他人から見た私の現実は生温いらしく、画餅充飢する必要もないらしい。もし私が辛苦していたところでも、本物の餅ですら、この大食漢の胃袋を満たすことはできないのに、絵に描いた餅で飢えを凌ぐことなどできようか。これほどまでに、私自身が山羊でないことを痛恨に思ったことは初めてだ。山羊だったら絵に描いた餅で満腹になれるのだろう。だが、私は人間である。人間である以上、私の腹を満たしてくれるのは本物の餅しかないのだ。(HK)

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