Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2010年11月18日(金) 「コート」

混沌として猥雑な東京から、洗練された埼玉に引っ越した。おかげで豊かな心は取り戻したものの、埼玉は内陸であり北の方面となるため、今まさに突撃の号令をかけんとする冬将軍の陣営に、「ラブ アンド ピース」などと平和ボケしてフラフラ近づくようなものでもある。冬将軍は「飛んで火にいる夏の虫かな」などと薄笑いをしているに違いない、冬のくせに。よってコートの出番はカオスに住む都民に比べて早くなるのである。コートを着ることによって自宅から家への行き帰りは快適である。ただ会社の最寄り駅から会社までの道のりはコートを着るにしては、気温は大変緩やかだ。「さすがは東京、気温まで弛んでおる」と罵倒もできるが、コートを着ている私の姿は幾分違和感がある。大英帝国の光栄ある孤立、またはアメリカ合衆国のモンロー主義に則り、コートを着ていてもいいのだが、ぶ厚いコートは暑いし目立つ。月見草のようにひっそり生きたいし、コートを着て汗をかくなど本末転倒だ。今は埼玉の引き締まった寒さに我慢してコートを着ずにマフラーだけを巻いて出社しているが、本音ではコートが着たい。最寄り駅にクロークサービスがあれば是非利用したいところだが、そんなものはあるわけがない。妻が車で駅まで送迎してくれればいいが、打診した直後には恐怖の時間が訪れる。コートは難しい。早く冬将軍の総攻撃が開始され、瞬く間に東京を占領してくれないものか。寒いのは嫌だが、コートで迷う必要はなくなる。(HK)

毎朝自転車に乗るので、すでにダウンを着ている。ダウンを着ると、まったく寒さを感じない。たぶん、カオス東京では、ダウンを着るには、時期的にいささか早いのだろう。自転車を乗る際に着用するダウンは膝上まである長いものだ。たまに短い丈のダウンや他のコートを着ると、お腹が冷えるような気がする。腹巻が欲しいくらいだが、さすがにそれは躊躇する。毎年コートを買うし、コートも何枚も持っているのに、結局最も愛用するのはこのダウン。他のコートを着て出かけると寒くて仕方がない。ある女優さんが「おしゃれは我慢」と言っていたが、冬になって他のコートを着るときに、いつもその言葉を思い出す。(M)

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