Editor's Room

itoh.com の舞台ウラをリアルタイムにご報告します。

2010年6月11日(金) 「わたしが遭遇した危機(危険)」

人生安全第一をモットーとしている私だが、多少の危機は発生する。ただ危ない行動をしたり、危ない場所に行ったりするわけではなく、全てが不注意による。昨年ニューヨークのJFK空港で財布を落とした。出国エリアの搭乗待ちで本場のマクドナルドにて本場のコーラLサイズでも楽しもうかと思って、財布を出そうとしたときに気づいたのだ。あまり現金を持ち歩けない主義なので財布の中身こそ飲み会を数回我慢すればいい程度だったが、クレジットカードが危ない。外国で落としてもサインを真似しずらくするために漢字で書いているが、そもそもミミズがのた打ち回っているような字をしているので、外国人が適当に書いても通用してしまう可能性は高い。日本だったら見つかる可能性が高いが、ここはニューヨークである。あの分厚い財布(小銭やレシート、ポイントカードによって)と共に帰国できる可能性は限りなく低い。出国後だったので探せる範囲内で探し回るも見つかるはずがない。財布には現金だけでなく、クレジットカード、キャッシュカード、パスモなど全てを入れていたため、成田空港から自宅に帰るには、大道芸を飛行機の中で練習して空港で披露するしかない。搭乗30分前になったので、全てを諦めクレジットカードを止める電話をしようとしたところ、館内アナウンスで「ラウンジへすぐに来い」と呼び出された。英語なら分からなかったが、日本語でのアナウンスだったから気づいた。行くとブリティッシュエアウェイズ職員である中年のおばさんが財布の中にあるANAのマイレージカードを見て、ラウンジに届けてくれたらしい。太い胴回りには大きな心を宿るものだ、などと言うつもりはなく、ただただ感謝である。その後、キャッシュカードを国内でも落としたこともあることもあり、余計なものを持たすと危険だと、私の財産は原則的に妻の覇権下に入った。今日では妻によるパクス・ロマーナを享受している。(HK)

もう5年以上前になるが、上海に旅行したとき、恐いことがあった。夜、上海雑技団の公演を見た帰りにタクシーを利用したときのことだ。その運転手、英語は通じず、愛想は悪い。とりあえず地図を指し、ホテル名を繰り返したところ、分かったといった感じで車を出した。しかし、どう考えても向かっている方向が違う。私と友人(女性)は小声で「やばいよね、やばいよね」とつぶやいていた。工事現場を抜け、到着したのは真っ暗なホテルらしき建物だった。恐すぎる。ここで降りるという選択肢はない。とりあえず「No」と繰り返し(穏やかな口調で)、何度も地図を見せた。タクシーはまた走り出した。生きた心地がしなかったが、また街のほうへと引き返していることが分かり、少し安心した。しばらくすると、泊まっているホテルに到着した。普段なら怒って値切るところだが、あまりの恐さと無事に着いたことに対する安堵のため、チップまで渡してタクシーを降りた。ただ単にぼられたのかもしれないが、生きていることのほうが大切だ。今思い出しても恐い体験である。(M)

itoh.comトップ > エディターズ・ルーム > 2010年バックナンバー

go Pagetop