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2010年2月19日(金) 「名作」

名作と言われているのに、見ていない映画がたくさんある。「サウンドオブミュージック」がその代表だ。曲はもちろん知っているが、実は映画そのものは見たことがない。あまりにも有名すぎて借りるのが恥ずかしいからチャンスを逃してしまったのかもしれない。話の内容を知らなかったので(お恥ずかしい)、Wikipediaで調べてみた。明るく楽しい話の中にも、ナチスや戦争といったシリアスな時代背景が描かれている(らしい)。やっぱり一度は見ておきたいと思う。ところで、スーパーやコンビニでよく見かける「名作」というおせんべいをご存知ですか?実は、私はあれを最近まで「吾作」だと勘違いしてた。人に言わずに自分で気づけて良かった。名作映画をみていないより恥ずかしいことになっていたかもしれない。(M)

名作といえば『三四郎』『それから』『門』の夏目漱石前期三部作をあげたいところだが、タイトルのリズム感が好きなだけで、実際に読んだ記憶はない。夏目漱石は記憶上は『吾輩は猫である』『坊つちやん』『彼岸過迄』『こゝろ』しか読んだことがない。やはり名作といえばフェードル・ドストエフスキーの『罪と罰』であろう。あらすじはあるロシア人が罪と罰に苦しむという内容だ。実際に読んだことがないので分からないが、名作としてあげておけば安牌である。こうしてみると私はあまり読書をしてこなかったか、西村京太郎に僅少な読書時間を浪費しすぎたことが露呈した。自分が読んできた本の中で最も名作だと思うのは塩野七生の『ローマ人の物語』である。歴史小説の中では珠玉ではないか。名作だと思う。歴史の専門家は史実との差異に拘るだろうが、私は古代ローマ世界に陶酔するだけでよいので楽だ。話は逸れるが、続編の『ローマ亡き後の地中海世界』の視点は私にとっては疑問点が多かったものの、歴史小説にありがちな善悪二元論に陥らず、歴史の面白さを『ローマ人の物語』に引き続き伝えていると思う。ただこの本の様々な書評を見ると、叙述されていること全てを歴史的事実と捉えての善悪二元論が跋扈している印象があるので、イスラム側の視点で書かれた同時代の同質の小説の出現を望みたい。(HK)

先日、今話題の映画「アバター」を見ました。3D映像はとても幻想的で美しく、壮大なストーリーは確かに感動的。早くも今年NO.1映画だと言われるのも納得できました。ですが・・・見終わったあと、友人と「果たしてあれは名作なのか?」という話に。映画の中では、自然と人間の共存について考えさせられるシーンがたくさんあるのですが、どうしてもそのテーマだと宮崎駿を思い出してしまうのです。宮崎駿のアニメ作品は当然2Dで、リアリティという意味ではCGのそれにはかないません。ですが彼の作品には、人の想像を掻き立て、本物よりも本物らしいと思わせる力があると思うのです。画面の隅の、小さな生き物ひとつ。風になびくスカートにそっと落ちる影。青く澄んだ空を映す、静かな海の波。見る人によって、見るタイミングによって、見え方が違うんですね。だからこそ何度も見たくなる。そういう作品を「名作」と呼ぶのかなあと、私は思いました。(YK)

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