Editor's Room

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2009年4月10日(金) 「入学式の思い出」

小学校の入学式の写真で、わたしは口を一文字に結んでいる。上下とも唇はまったく見えない。どの写真を見てもそうだ。母が準備してくれた可愛いワンピースも台無しの表情である。だがわたしがそうしたのには理由がある。入学式の当日、祖母が「写真は口をぽかーんと開けずに写るんだよ」とわたしにアドバイスしたのだ。どうやら、それまでのわたしは、口をぽかーんと開け、間抜けな顔で写真に写っていたらしい。それを見かねた祖母がアドバイスをしたのだ。だが小学生になったばかりのわたしに、その言葉の意図を解釈する力はなかった。「口を閉じていなければ」と過剰反応した結果が、その写真に残っている。お天気も良く、桜もとても綺麗だった小学校の入学式。全然かわいく写ってはいないが、その写真を見るたびに、つい笑ってしまう。素直でかわいかったなあ、わたし。(M)

高校の入学式の日、担任の先生がにこにこしながら「かわいいわねぇ、あなたたち」とおっしゃったのをよく覚えています。たぶんその後に続いた「一年生になってかわいいと言われるのは、これが最後よ」という言葉が強烈だったせいです。自分ではちっともかわいいと思っていませんでしたが、真新しい制服に身を包み、未知の高校生活というものにどきどき緊張している姿はきっと本当にかわいかったのでしょう。でも大人になってみると、大学一年生も社会人一年生も、どちらでもなくても何かを始めたばかりの○○一年生というのは、なんとなく初々しくてかわいいなぁと思います。すみません、入学式のことは全然覚えていません・・・。(MT)

過去は美化されるという。小学校の入学式の写真には、紅顔で愛くるしい私の姿が写っていると書いてみるが、小学校1年生の夏まで西ドイツにいたので、入学式は経験していない(ドイツの入学式は9月だ)。脱線するが、その半年少ない小学校生活は、私の頭脳に致命的なダメージを与えた。閑話休題。中学の頃の入学式は印象に残っていない。エスカレーター式だったので高校の入学式は始業式と気持ちは変わらないから、これもまた印象に残っていない。1度目の大学の入学式は、キャンパスが遠すぎて、間違いなく授業をサボることとなるという予感しか印象にない。比較的まともに覚えているのは、2度目での大学の時ぐらいだ。大学の入学式といえば、式が終わった後のキャンパス勧誘だ。苦しい受験勉強からの開放感、充実したキャンパスライフが始まったという高揚感は顔や雰囲気で分かるのだろう。前の大学で無為な3年間を過ごした新入生の出す倦怠感は勧誘する側には伝わるものである。誰も私を勧誘せず、ビラも渡されない。ここは東京砂漠か。せっかく前の大学で味わうことのなかった充実したキャンパスライフをエンジョイしようと心の奥に秘めていたのに、完全に気勢を削がれた。そもそも充実したキャンパスライフなど、私とは最も遠い世界である。入学式ですべてが決まってしまった。無為の4年間を過ごすことになると。そして現実となった。(HK)

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