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2005年10月21日(金) 「好きな作家」

私はもう20年来の村上春樹ファンです。まず魅せられたのがその独特の世界観。本を読んでいるうちに、どこか違う世界(しかも実存しそうな)に入り込んだような感じになります。次に、(前にも書きましたが)その文章の美しさ。シンプルでいて、美しく洗練された言葉選びにはいつもいつも感心させられます。日本で一番文章の美しい作家だと言われる所以です。そして1文1文が短く、とても読みやすい。一番好きな本は「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」です。今は絶版となったボックス入りのハードカバーで持っています。エッセイも大好きですけど。村上春樹さんは、子供の頃、本だけは親のツケで好きなだけ買えたんですって。それが作家としての礎を築いたんですね。(M)

高校のときに『ローマ人の物語』を読んで以来、塩野七生さんのことを追いかけ続けています。私にとって肉親以外で最も付き合いの長い女性ともいえます。塩野さんが描く世界の美しさや躍動感はもちろん魅力的ですが、学生の頃、歴史学者にあこがれた私にとって一番魅きつけられる点は、歴史学者のように一次史料を丹念に研究し、史跡を自分の足で歩き調べ、既成の歴史的事実だと思われている出来事を再度自らの手で再構築し、さらに想像力を膨らませて生き生きとした小説に仕上がるところ。蛇足ですが、大学で史学を専攻したきっかけの一つは『ローマ人の物語』です。最初は西洋史専攻に入ろうと思い、第二外国語としてフランス語やイタリア語などの語学が必須で、ラテン語系で最も汎用性のあるフランス語を選んだのですが、これが失敗でした。「こんなの出来ないなんてミゼラブルだ」「あら?あなたの和訳、随分たどたどしいけど留学生?ホホホ」など、授業毎にフランス語の先生からありがたい言葉をいただく劣等生で、ギリギリ進級した私にとって西洋史に進む余力などなく、結局「言語は学部のうちは英語だけでいいよ」(アラビア文字を学部生のうちに習得するのは至難の業ですしね)という甘いささやきに負けて東洋史専攻のイスラーム分野に進むことになりました。それでも、オスマン帝国支配下のギリシアを卒論のテーマに選んだりするなど、塩野さんの世界に未練たらたらなのです。(HK)

好きな作家、、、。結構、悩みます。作家については、浮気性です。一冊読んで「おもしろい!」と思ったら、続けて同じ作家の本を読み、とりあえず読み尽くして次にいく、という読書傾向があります。思い返してみると、小さいときからそうですね。思い出せるかぎり書いてみると、、、たとえば小・中学生の頃は、寺村輝夫さん(ぼくは王様シリーズ)、松谷みよ子さん(モモちゃんンシリーズ)、中川李枝子さん(「いやいやえん」とか「ももいろのきりん」など)、リンドグレーン(「長靴下のピッピ」シリーズ)、熊のパディントンシリーズ、メアリー・ポピンズシリーズ、赤毛のアンシリーズ。アガサ・クリスティー、江戸川乱歩、ルブラン、ドイルなど推理小説も、作家を軸に続けて読みました。高校生の頃は、三島由紀夫、太宰治、川端康成、谷崎潤一郎。すごい懐かしいけど、福永武彦とか、フランソワーズ・サガン、モーム、ブロンテ姉妹、夏目漱石も。沢木耕太郎、山崎豊子、村上龍、村上春樹、江國香織、、。本当に、一度凝ると、続けてその作家の本ばかり読みます。もちろんそれ以外の作家の本も読みますが、作家で続けて読んだ本の方が印象に残っている。一番の問題は、作家とタイトルは覚えていても、肝心の中身を忘れてしまうことかな。ちなみに最近は、司馬遼太郎に凝っています。好みが移ろいやすいので、作家について誰が好きかと聞かれると困るのですが、基本的に、たくさん文字が書いてある本の方が、スカスカな本よりも好きです。(C)

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