世の中で一番困っちゃうのは、暗い人が明るく振る舞うことね。そういうのって周りが暗くなるでしょう? いろんな人がいるわけですよ。それなのにみんなが同じようになろうとするから、すごくつらい。あなたはあなたの感性があるし、あなたはあなたらしく生きる。それでいいんです。
いま医療の世界もオーダーメイド・ディスンとかインディビジュアル・メディスンとか言われていて、誰にでも効く薬はどうもないらしい。一人一人ボディチェックをして、あなたにはこの薬をこのぐらいの量、という時代に入っている。にもかかわらず、みんなが同じにならくちゃいけないというのはまずいわけです。
高度経済成長の時代には、通信簿に“積極的”と書いて欲しかった。でも日本人の九割方は内向的でしょう、おそらく。だって農耕民族が積極的になっても仕方ないですもん。稲は“積極的”には育たない。頑張っても駄目なわけ。積極的にやれるのは、何か獣を追っているような場合であって、積極的な農民はいない。でも積極的にしなきゃいけないな、と思ってみんながんばった。そうすると、積極的に振る舞っていた内向的な子が、25、6歳ぐらいになって「私は誰?」っていう現象を起こしたりする。
だから別にノリの悪い人がノリを良くしようなんて努力しなくていい。だいたい周りが迷惑しちゃうんですから。その人はおとなしくずーっと飲み続ける、と。そして途中で気持ち悪くなって、その辺から何か目立つから大丈夫、はい。 |